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稲田隆紀の映画紹介

面白味はひとつではない――

『永遠の0』は、監督・山崎貴が持ち前の映像技術を駆使して時代を再現した、百田尚樹の大ベストセラーの映画化。

『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズを手がけたことで、山崎貴は一躍、日本映画界注目の匠となった。自らが生まれる前の昭和30年代を、貧しくても豊かな“異世界”として再現。人情の機微をてんめんと謳いあげたことが、みる者の心を惹きつけたのだ。
 もっとも、山崎監督の志向はSFやファンタジー世界に向いている気がする。『ALWAYS 三丁目の夕日』3部作の合間に『BALLAD 名もなき恋のうた』や『SPACE BATTLESHIP ヤマト』に挑み、八木竜一と共同で3DCGアニメーション『friends もののけ島のナキ』を手がけたことが何よりの証明。評価された3部作にしても“異世界”タイム・トラベルと考えれば、ある種カリカチュアされた臆面のない情の描き方も納得がいく。
 本作は現代の若者が太平洋戦争末期の零戦パイロットの軌跡を調べていくという、百田尚樹の国民的ベストセラーの映画化。子供の頃にちばてつや描く「紫電改のタカ」を読んで衝撃を受けた監督が、長じても特攻を題材にした映画をつくろうと考え続けていたところで出会ったのがこの小説だという。脚色は『藁の楯 わらのたて』の林民夫と共同で行ない、呼び物となる空中戦シーンや戦闘シーンのVFXも監督自らが引き受けている。
 出演は“V6”のメンバーであり、テレビドラマ「木更津キャッツアイ」や「SP(エスピー)警視庁警備部警護課第四係」で個性を発揮し、劇場用作品も『天地明察』や『図書館戦争』などで俳優としてコンスタントな活動を続ける岡田准一を主役に起用。『君に届け』の三浦春馬、『八日目の?』の井上真央、『謝罪の王様』の濱田岳といった若手に加え、田中泯、山本學、平幹次郎、橋爪功、今年5月にこの世を去った夏八木勲まで、実力派が選りすぐられたキャスティングとなっている。

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『永遠の0』
12月21日(土)より、全国東宝系ロードショー
配給:東宝
[コピーライト]2013「永遠の0」製作委員会
公式サイト:http://www.eienno-zero.jp

 司法試験に落ち続けて、進路に対して自信が持てなくなった青年、佐伯健太郎と姉の慶子は、祖父だと思っていた賢一郎とは血のつながりがないことを知らされる。実の祖父は宮部久蔵という零戦のパイロットで、終戦直前に特攻出撃によって帰らぬ人となっていた。
 フリーライターの慶子はネタにするべく、健太郎とともに久蔵のことを調べはじめる。生存しているかつての戦友たちに訪ね歩くうちに、久蔵が“海軍一の臆病者”といわれていたことを知る。
 天才的な操縦技術の持ち主でありながら、久蔵は敵を撃破するよりも生還することを第一に考えた。家族のもとに帰るために、乱戦になると離脱したという久蔵は、やがて訓練教官になった。
 実の祖父が蔑まれていたことに傷ついた健太郎だったが、慶子が取材を止めてからも戦友たちに証言を聞き続け、久蔵の人間的な一面を知っていく。しかし、それほど生命を大事にした久蔵が、なぜ特攻に志願したのか。健太郎はやがて封印されていた事実に辿りつく――。

 現代の視点で過去のエピソードを繋ぎあわせていく構成。健太郎の現代の価値観と久蔵の価値観が最初は対立するが、次第に健太郎が共感していき尊敬するようになるまでの軌跡といえばいいか。原作者の百田尚樹は1956年生まれで、山崎監督も1964年生まれ。ともに当時の人々のリアルな気持ちはリサーチや証言から類推するしかないだけに、現代の常識と対比するこのやり方がよかった。多少、久蔵を美化し、好戦主義者をカリカチュアしすぎるきらいはあるものの、このほうが今の観客には分かり易いとの判断なのだろう。
 監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズと同じく、自らが生み出した太平洋戦争下の世界を体験しているかのようだったと語っている。リアリティにこだわって時代を再現するなかで、とりわけ力が入っているのが飛行機、戦艦の雄姿だ。零戦と米軍機との空中戦、海戦シーンは“見せるVFX”に徹したというだけあって、CGのテクスチャーの精度を上げてさらにリアルな映像に仕上げている。
 なかでも空中戦のシーンに関しては監督自身がヘリコプターに乗って空撮の素材を撮影し、その素材を零戦の速度に合わせて調節するなど、細かい配慮が行なわれている。しかも史実に忠実な映像にするというハードルを課してのチャレンジ。さすが山崎監督VFX出身だけあるこだわり方だ。

 俳優陣はいずれも好演である。とりわけ久蔵役の岡田は信念を貫きながらも、周囲の状況に傷つき、次第に荒れていくキャラクターをきっちりと表現している。証言者の語るエピソードごとに異なる表情を求められる難役ながら、ヒロイックなイメージを画面に焼きつけている。
 健太郎役の三浦もいかにも今どきの好青年らしいし、久蔵の妻を演じる井上も戦前の女性をさりげなく演じている。濱田をはじめとする若手俳優たちが懸命に当時のパイロットに挑めば、年嵩の俳優たちは生存者のその後を巧みに演じている。

 主題歌「蛍」をサザンオールスターズが歌っていることも大きな話題。今夏は『風立ちぬ』が零戦の設計者、堀越二郎に焦点を当てていたが、特攻という目的のために使われることは本意ではなかったろう。こうした事実がかつての日本で起こったことを再認識するためにも、一見をお勧めしたい。

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