ジョニー・デップが日本で動員力のあるスターのひとりであることは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『チャーリーとチョコレート工場』などで証明されている。
ただ、子細にみていくと、彼の作品でヒットを飛ばしているのはカリカチュアされたキャラクターを演じているものが多いことに気づく。たとえば『パブリック・エネミーズ』のようなストレートなヒーローよりも、主演でなくとも『アリス・イン・ワンダーランド』の帽子屋のようなアニメチックなキャラクターが好まれる。俳優はさまざまな役柄に挑戦したい気持ちがあるものだから、本人としては忸怩たる思いがあるかもしれない。
実際、デップ自身も、単なるハリウッドのスターでいることに潔しとせずに、作家性の強い作品に挑戦してはその演技力を証明してきた。だが、とりわけ日本の観客はそうした作品よりも弾けたポップなデップを好んでいるようだ。
こうしたデップに対する特殊な嗜好の責任の一端は、ティム・バートンにあるといっても過言ではない。バートンと組んでユーモアとペーソスを披露し、一躍、出世作となった『シザーハンズ』で強烈な印象を与え、『エド・ウッド』に『スリーピーホロウ』、上記の『アリス…』や『チャーリー…』、そしてミュージカルの『スウィニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』まで、どれも誇張されたアニメーション的なキャラクターばかりだ。それが強烈であったことから、いっそうデップのイメージがポップな方向性に固定化したというべきか。『ダーク・シャドウ』は日本の観客が期待するそうしたデップのイメージにぴったりとはまった作品となっている。演じるバーナバス・コリンズはユーモラスでペーソスたっぷり、しかもロマンチックな要素を有するキャラクターなのだ。

『ダーク・シャドウ』
5月19日(土)より、丸の内ルーブルほか全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
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